J.A.K.A.M. / Counterpoint EP.6
全9作を予定しているJ.A.K.A.M.の〈COUNTERPOINT EP〉シリーズもいよいよ後半戦、今回で6作目のリリースとなる。SIDE Xの「Salaam」では、J.A.K.A.M.とも競演を重ねる日本屈指のアラブ・ヴァイオリン奏者、及川景子の師であるSaad Muhammad Hassanが奏でるディープなメロディーと、沖縄在住のグナワ(モロッコの伝統呪術音楽)演奏家、津嶋としひとのカルカベとゲンブリが共鳴し合う。かたやKINGDOM☆AFROCKSなどで活躍するKIDSのサックスに導かれるSIDE Yの「Homeland」には、まるで70年代のアフロ・ジャズのようなディープな響きがあり、アフリカ中央部ブルンジの伝統太鼓アンサンブルにも似た祝祭感溢れるリズムが躍動する。一聴しただけではコントラストのはっきりとした2曲ではあるが、どちらの曲にも伝統と現代性が共存しており、このシリーズが〈COUNTERPOINT=対位法、対位旋律〉というコンセプトの元に作られてきたことを再認識させられる。そして、リリースを重ねるごとに、J.A.K.A.M.が描き出す世界観がより深淵なものとなっていることを実感させられるのである。 大石始(ライター/編集者) JUZU a.k.a. MOOCHYの別名義“J.A.K.A.M.”のアナログシングル連続リリース、第六弾が早くも12"アナログ盤で登場! 2015年の1月から始まったこのアナログ連続リリース企画、毎月11日に発売された全タイトルに一貫しているのは、そのハイクオリティでいて両サイドの相反する音の世界観、そしてそれを具現化したアートワークという、トータルな作品としての質の高さで話題となっていますが、今作はそれをキープしつつ、これまでにも増してある意味両サイドの対局っぷりがより際立った、DEEPな2トラックとなっています。 耳に目に感覚に直撃すること必至です! SIDE X の“Salaam”は、エジプトでJ.A.K.A.M.自身が録音してきた至宝のヴァイオリニスト、優に80歳を超えるSaad Muhammad Hassanが奏でる感極まる美しく流麗なメロディが印象的な、美しさと切なさ、そして強さを秘めたハウストラックとなっています。 さらには前作“Nile”でも強い印象を残した楽器、モロッコの熱く煮えたぎる音楽・グナワで使われるゲンブリの地を這うベースのようなThug感のあるメロディラインと、グルーヴ感を促すカルカベの小刻みに続く高音リズム、そこに切なくグッと込み上げるメロディのヴァイオリンとピアノが絡まり合い、前半から後半へかけてじっくりと聴く者を至高の世界へと連れていきます。 またKINGDOM☆AFROCKS等で知られる敏腕ドラマー・タナカ慶一のドラムや、エンジニア、トラックメイカーとして知られるJEBSKIのドラムエディットも聴きどころです。 ピュアなダンスミュージックであると同時に、エロスとタナトス、聖と俗、大きな宇宙とここにしかない今現在という時、そういったものまでをも感じさせる、雄大でスピリチュアリティを感じさせる作品となっています。特に後半の高揚感はハンパありません! MIXはNY在住の日本人、Masters At Work等で有名な"Little" Louie Vegaの専属エンジニアであるYas Inoueが担当。揺らめく音の粒までを再現させた流石のクオリティーに仕上がっています。 SIDE Yの“Homeland”は3月にリリースされた第三弾目のシングル“Warriors”にも通じる、勇ましく二本の足で自分の道を歩んでいるような骨太なビートが特徴的な、STRONG BREAKBEATS! TRIAL PRODUCTIONやラッパーRUMIの別名義、雨衣ルミのバンドThe Plum Hill Band等で活躍するKIDSのSAXが、太いビートの上で自由にメロディアスに奏でられ、それでいて船の矛先のようにこの曲がどこへ向かうかを示してくれるように頼りがいのある生命力を注ぎ込んでいます。そこに、J.A.K.A.M.のファーストソロアルバムからのもはや盟友でもある、キューバは米軍基地のある場所、グアンタナモ出身のEUDYSのピアノとティンバレスが重層的に絡まり、4人の日本人(それぞれが中東・ブラジル・ラテン諸国といった違うバックグラウンドを持つ)が、様々な種類のパーカッションでリズムを加えている力強いグルーヴ感のある、ぜひとも爆音のサウンドシステムのもとで聴いていただきたい躍動感ある楽曲となっています。 こちらはJ.A.K.A.M.ことJUZU a.k.a. MOOCHY本人が、入魂のMIXを担当!荒々しさと骨太さが際立つ力強い仕上がりとなっています。 また、このCOUNTERPOINTシリーズの全てのマスタリングは、AOAやSOFTといったレイヴ系のジャムバンドの先駆け的存在のバンドに90年代に在籍し、現在は沖縄のコザにスタジオを構え、J.A.K.A.M.のレーベルであるCROSSPOINTとも縁の深いCHURASHIMA NAVIGATOR(美ら島ナヴィゲーター)のメンバーでもある、ドラマー、DJ、トラックメイカーでもあるSINKICHIが、今回も手掛けています。 カッティングはJah-Light Sound Systemの主要人物であり、また今やアジア唯一のアナログ制作を行う東洋化成のカッティング師(その数たるやハンパありません)のShunsuke Nishiyaが毎回担当しています。 強力なサポート陣を含め、メイドインジャパンを地で行くこの“COUNTERPOINT”シリーズ、J.A.K.A.M.の音世界は唯一無二さにもどんどん磨きがかかり、今回もSTRONGなダンスワールドへと聴衆を誘う事必至です!! (crosspoint) SIDE X. Salaam Violin: Saad Muhammad Hassan Qraqab & Genburi: Toshihito Tsushima Drumz: Keiichi Tanaka Drum Edit: Kensuke JEBSKI Kobayashi Percussions: Tinnen MIX: YAS INOUE SIDE Y. Homeland Sax: Takehide "KIDS" Hashimoto Piano & Timb: Eudys Morales Percussions: Kepel Kimura, Date Gen, Tinnen & Kyoko Oikawa MIX: JUZU a.k.a. MOOCHY Mastering: Sinkichi Kadoya Cutting: Shunsuke Nishiya Design: Yuuki Ikegami A&R: Nobuhiro Furuichi Produce: Takashige J.A.K.A.M. Miyawaki Format:12" Label:crosspoint (JP)