Nico Rojas / Suite Cubana para Guitarra ギターのためのフィーリン
マニア垂涎のアナログだったホセ・アントニオ・メンデスの3枚のアルバムが復刻され、そのフィーリンの音楽的な柱だったギタリスト、グユンの幻のアナログ音源まで復刻されたりと、一般の音楽ファンまで巻き込んで注目されるキューバのフィーリン。 本アルバムのニコ・ロハスは、フィーリンの創始者の1人にしてフィーリンの最高のギタリストといわれるアーティストです。グユンが、フィーリンのムーヴメントを外側から支えた存在だったのに対し、ニコ・ロハスは最初期からムーヴメントに参加し、フィーリンの誕生〜発展に貢献しました。フィーリンの2大巨匠の1人セサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルスは、ニコ・ロハスの功績を湛えた発言をしています。 ニコ・ロハスは裕福な家庭に生まれ、当時のキューバでは珍しくジャズのレコードからクラシックのレコード、さらにキューバ音楽の様々な種類のレコードまで所有し(地元のパーカッション・アンサンブル主体のルンバの名門グループ、ムニェキートス・デ・マタンサスの演奏などにも足繁く通ったともいわれています)、そのコレクションをフィーリンのアーティストたちに積極的に聴かせたといいます。 自身はギターを独学で覚え、クラシック(特に印象派)やジャズのコード感や複雑なメロディを他のアーティストたちに提案したそうで、特にクラシック的な手法をフィーリンに取り入れるべきであると主張したそうです。 ニコ・ロハスの演奏は、ジャズのスィング感、クラシックのコード感、さらにもちろんキューバの様々な音楽のリズム感や歌心を同時進行で聴かせるもので、一聴すると、どのジャンルの音楽でもありどのジャンルの音楽でもない独自なものと感じさせます。まさに、「スタイルではない」といわれる“フィーリン”の核心をついた演奏と言えます。 フィーリンの創始者の1人ニコ・ロハスの録音によって、キューバで興ったフィーリンのさらなる正しい理解と広がりが広く認識され、フィーリンのファンがいっそう増えることと思われます。 (DISCO CARAMBA) Format:CD Label:DISCO CARAMBA (JP)