V.A. / 直島ミュージックスタジオ作品集
瀬戸内海の小島、直島で60年代から働く人々の歌をレコードにし続けていた希代のレーベル、直島ミュージックスタジオの初期作品を集大成。慈しむようなギターと不思議なエコーに包まれた至極の歌たち。70年代演歌のミリオン・ヒット「おやじの海」のオリジナル・バージョンも収録。 1979年の歌謡賞を総なめにした大ヒット演歌「おやじの海」は、もともと自主制作盤でした。そのレコードは、現在ではアートの島として知られる瀬戸内海の直島で作られていたもので、実はその小さな島に作られた録音スタジオで1969年から綿々と制作され続けてきたたくさんのレコードの中の一枚でした。 「おやじの海」の自主制作盤の不思議なギターと独特のエコーに包まれた音響は、一部マニアのあいだで話題になっており、湯浅学監修のコンピレイション「男宇宙」にも収録されましたが、本作はそのスタジオで制作されてきたすべて非売品だったレコード群をCD化したものです。 楽曲はスタジオの運営者であり、ほぼすべての作詞作曲と演奏も手がけた佐義達雄氏の手によるもの。そして、その唄のほとんどが漁師や畑仕事などの労働に関する歌で、佐義氏は、我々が今のような何不自由無い暮らしをできているのは、このような先達の血のにじむような努力によるものだということを伝えるためにレコードを制作し続け、そしてそれを販売するのではなく、ただ「聴いてもらいたい」という一心で、すべてを全国の有線放送の支局などに配り続けました。 このような時代だからこそ、今、改めて我々の足元を見つめ直すためにも聞いていただきたいCDです。日本歌謡史の足元にある、「人々の歌」は、保存された「民謡」なんかじゃなくて、こうした町町で綿々と作られ続けているものであるはずです。佐義氏は現在も直島で現役です! 田口史人(円盤/リクロ舎) 1. おやじの海(村木賢吉) 2. 父を待つ子(茜夕子) 3. 高松のおんな(大川ゆき子) 4. 何が私を変えたのよ(大川ゆき子) 5. 待ち切れなくて(静花ジュン) 6. バリヤの中の物語(Gマン) 7. サラリーマン・エレジー(Gマン) 8. 孤独への旅立ち(茜夕子、小浜良子) 9. 夜霧の出船(稲井英夫) 10. 海坊主の唄(富岡稔) 11. おやじよ(Gマン) 12. おふくろ演歌(Gマン) 13. 冬枯れの海(富岡稔) 14. 地獄海(佐義達雄) 15. 漁師一代(村木賢吉) 16. 土方渡世(村木賢吉) 17. 雨畑音頭(村木賢吉) 18. 池大神讃歌(石田智昭) 19. 海と少年(佐義達雄) 作詞、作曲、ギター演奏:佐義達雄(11作詞:山中博幸) 監修、解説:田口史人(円盤/リクロ舎) インタビュー:湯浅学、秘密博士、田口史人 デザイン:村岡充 整音:宇波拓、大城真、AMEPHONE、湯浅学 Format:CD Label:リクロ舎 / 円盤 (JP)