Nora Guthrie / Emily's Illness c/w Home Before Dark
アメリカン・フォークの雄、ウディー・ガスリーの実娘(同時にアーロ・ガスリーの妹)であるノラ・ガスリーが1967年に発表していたまさしく“幻の”、しかもたった一枚のソロ・シングルであり、ソフトロックであり優美なサイケであり、かつアシッド・フォークでもある禁断の果実「エミリーズ・イルネス(エミリーの病)」をオリジナルのカップリングにて7インチのみの再発。 作品は両面ともに当時付き合っていたエリック・アイズナーの作曲で、そのハーモニー/リズム構成はジャズ、また特にジョアン・ジルベルトの影響が聞きとれ、それは彼女の歌唱面でもわかる。楽器法とサウンドの質は『Pet Sounds』あるいは『Sgt. Peppers』と聞き紛う重厚なものであり、その面でも60年代音楽好きにはたまタマらないが、実は西海岸のロスならぬ東海岸NYの録音で、当時のティーン音楽の重要拠点だったグリニッジ・ヴィレッジから生まれたものだった。これがノラのひっそり控えめな歌声にブレンドされ、不思議な楽想とあいまって、美しくメランコリーな世界を生んでいる。 なお、エリック・アイズナーはピーター・ゴールウェイの率いたあのフィフス・アヴェニュー・バンドの前身、60sマニアにとっては泣く子も黙る(?)ストレンジャーズの一員だった人(このシングルの洒脱な感覚も十分ナットク)。 ■曲目■ <Side-A> Emily's Illness (E. Eisner) <Side-B> Home Before Dark (E. Eisner) Arranged and conducted by Artie Schroeck Produced by Monte Kay and Jack Lewis Format:EP Label:EM RECORDS (JP)