Badume's Band, OKI meets Misako Oshiro
Crosspoint/Proceptionからの新作12インチは、クラブ・フロアにネイティヴなヴァイブスを注ぎ込む4曲を収録。 エチオピアの呪術的グルーヴに魅せられたフランスはブルターニュ地方のバンド、バドゥムス・バンドの2011年作『Ale Gena - Ethiopia』から2曲。アイヌ伝来の弦楽器トンコリ奏者として前人未到の活動を続けるOKIと、沖縄民謡の最高峰、大城美佐子の競演作『北と南』から2曲。前者ではエチオピア人歌手セラムネッシュ・ゼメネの力強いコブシ回しが炸裂し、後者では沖縄民謡の祝祭的グルーヴが波打つ。 〈今だからこそ〉耳を傾けるべき音がここに。エチオピアと日本の間の奇妙なほどの文化的相似にも思いを馳せたくなる4曲だ。 大石始(ライター/エディター) Badume's Band エチオピアのファンキー・ヴィルスに感染したブルターニュ人たち。哀愁の響きを持つメロディー・ラインを、ブローしまくるサックスやシャウトしまくるコブシ・ヴォーカルが、これ以上ないファンキーさで演奏し、衝撃を与えてくれた、エチオピアン・ポップ。フランス、ブルターニュ地方のこのバドゥムス・バンドは、エチオピアの歌手の使うコブシやフレージングが、ブルターニュの伝統的歌唱などと極似していることに気付いたリーダーのリック・メヌトーが7年の歳月を経て作ったエチオピアン・オーケストラです。エチオピアのオーティス・レディングことマハムド・アハメドにも「今日、世界一のエチオピアン・バンドはこのブルトン人たちだ」と称された彼ら。ファンキーかつ愛情溢れるエチオピアン・ポップを繰りひろげています。 OKI meets Misako Oshiro 沖縄の唄三線にアイヌのトンコリが恋をした。紡ぐ音、歌う言葉にウムイ(想い)をのせて。OKIと大城美佐子――ひとりは、樺太アイヌの伝統弦楽器・トンコリの奏者であり、世界を見つめた斬新な音作りでアイヌ音楽の可能性を切り拓いてきた ミュージシャン/プロデューサー。ひとりは、唄の道を歩み続けて55年、御年76歳にして現役、“絹糸の声”を持つ沖縄民謡界の女王として君臨する唄者。誰も想像しなかっただろう北と南の出会い。アイヌ、沖縄をルーツとする2人の夢のコラボレーションが実現した。遠い昔にあったどこか、それともまったく新しいどこか。懐かしいようであり新鮮でもある、その地に鳴る音は胸の奥をじわりじわりと刺激する。大城美佐子とOKI、2人が心通わせ描いたこの音の景色こそ、ほかの誰もたどり着かなかった“北と南が出会うところ”なのかもしれない。 (文/岡部徳枝) Format:12" Label:crosspoint (JP)