服部峻 / NOISE
NOISE by HATTORI Takashi 菊地成孔をして“天才”と評され、映画美学校音楽美学講座の第1期生として、若干15歳にして特別に入学を許可された異色の経歴を持つ大阪出身の音楽家服部峻による3作目のアルバムは、前作から約6年のスパンを経て、2021年の年末に突如としてデジタル音源のみで自主リリースされた。 近年では、Dos Monosの構成員として知られる没 a.k.a NGSとのHK ETERNALでの活動や、映像作家遠藤麻衣子監督との継続的なコラボレーションなど、分野を飛び越えながら常に音楽に献身し続ける音楽家服部峻が、長い制作期間を経て辿り着いたキャリア最高傑作。この度、インパートメントより初めてCD化される。 2013年にリリースした1st“UNBORN”、2015年の2nd“MOON”に続く本作“NOISE”は、相反するあらゆる事象の境界線を内側から溶かしていく様に、挑戦的でスリリングな音像が身体と意識との間を駆け巡る。それはまるで繰り返し見る奇妙な夢の様に重厚かつエネルギッシュでありつつも、随所にコミュニケーションの余白を残している。言葉を持たない動物や植物が語りかける様に、もしくは自然現象や人工物に表情を見出す様に。雑然とした心象を背景にしながらも、繊細な機微を捉えたしなやかな視点に導かれ、音の交信は続いていく。 人間の持ち得るすべての感覚に訴える様な異常な緊張感と、識別可能な感情の枠組みをすり抜けてしまう俯瞰した空気感が同居する、そんな真空状態の知覚に迫るこの未開の音像は、まるで先ほどまで身体を有していた魂の“最初の”足取りの様に身近で不確かだ。その亡霊は、この世のどこにも存在しないグランドピアノを調律し、ハードウェアを失ったシンセサイザー音源をかき集め、かつての身体で鑑賞したオーケストラの演奏や映画の劇版を記憶だけで再構築してみせる。その様子は、日々薄れ行く感覚や失っていく感情を取り戻すべく必死な姿にも見えるし、それそのものを慈しむ様に可笑しさや楽しさを選り好みしている様にも思える。 本作では、服部峻が作曲から演奏、ミキシング、マスタリングまですべてを行い、唯一の客演として愛知在住のトラックメーカーind_frisが“Ryukyu Glass”に参加している。 CDにはライナーノーツとして細田成嗣による日本語文と、安永哲郎によるその英訳文のブックレットを収録。アートワークは服部本人によるものに加え、堀本達矢、A FOOL、松岡ジョセフら、交流のあるアーティストが協力している。 (Inpartmaint Inc.) 服部峻(はっとりたかし) 映画美学校音楽美学講座の第1期生として、若干15歳にして特別に入学を許可された異色の経歴を持つ大阪出身のマルチアーティスト。2013年に円盤レコードより“UNBORN”を、そして2015年にnobleより“MOON”をリリースし、2021年には最新作“NOISE”を自主配信のみで発表。ジャズや現代音楽などの即興性とクラシックや電子音楽などの構築性が同居した独特なその作風は、地域を問わず様々な分野から絶賛されている。 1. VS 1 2. The Sculpture 3. Downpour 4. Fate 5. Gaze 6. Koe Naki Koe 7. The Matsuri 8. Emancipation X 9. Anima 10. Ryukyu Glass 11. Tokyo Days 12. VS 2 ライナーノーツ:細田成嗣 英訳:安永哲郎/Jeff Fuccillo Format:CD Label:INPARTMAINT INC. (JP)