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コサカイフミオ / THE WARM GARDEN

型番 LA-21848
販売価格 1,500円(税込)
在庫数 Sold Out!!!

インキャパシタンツコサカイフミオが、発振器/シンセサイザー/メタル・パーカッション/ヴァイオリン等の自宅即興演奏を多重録音して、1993年に自身のレーベルからカセットでリリースしていた2ndソロアルバムが、2022年にアメリカのSKELETON DUST RECORDINGSからCD再発!



Nearly 30 years after its debut as a limited cassette, Skeleton Dust is honored to offer Fumio Kosakai's 1993 full-length recording of cosmic travelings as a digipak CD reissue. Known predominantly for being a member of pioneer noise groups Incapacitants and C.C.C.C., Kosakai returned six years after the release of Earth Calling, the debut offering on his own Anciant Records, to continue exploring the deep and unknown trenches of space on The Warm Garden. Utilizing a simple equipment array of violin, Casiotone synthesizer, metal plate, and effects, Kosakai transcends limits of the sonic cosmos to find something that is both magnetizing and hypnotic. Liner notes by Toshiji Mikawa with translation by Kato David Hopkins. Edition of 300.
(SKELETON DUST RECORDINGS)

これは、1993年にリリースされたコサカイフミオのセカンド・ソロアルバム“The Warm Garden”の再発CDである。オリジナルは、彼自身が運営していたレーベルAncient RecordsからC-60カセットとしてリリースされたものだ。ファースト・ソロの“Earth Calling”は同じくAncient RecordsからC-46カセットで1987年にリリースされているので、それから約6年の間を空けた第二作ということになる。ファーストの方は、2013年に英Memoirs of a Crater LakeからLPとして再発されているが、こちらは今回が初の再発である。オフィシャルにリリースされている彼のソロ作品は、この二作の他には、2012年にやはりセルフ・リリースされた“Practice of Oscillation”があるのみで、そう考えるとキャリアの長さの割には寡作であるという印象を受けるかもしれない。しかし、必ずしもそうではないのだ。お気づきの方もいらっしゃるだろうと思うが、例えば、Incapacitantsが1993年にリリースした三本組カセット“Ad Nauseam”の二本目のカセット“Edition Kosakai”に収録された三曲は、Incapacitants名義ではあるものの、実質、彼のソロ作品である。また、同じく、IncapacitantsのCD“SEC END”に収録された“Action Diet 1997”についても、音源自体はIncapacitantsのものであるが、完成した曲は彼のソロとされるべきものなのである。

さて、その音についてはどうだろうか。有り体に言って、やはり上記Incapacitants名義のものと、完全にソロ名義でリリースしたものとの間には明らかな差がある。勿論、ファーストである“Earth Calling”のリリース時点では、Incapacitantsに参加していなかったのだからそれも当然だろう。では、このセカンドではどうか。音を聴いていただければすぐに理解できることだが、やはりIncapacitantsでの音とは明らかに一線を画している。本人によれば、発振器、シンセサイザー、メタル・パーカッション、ヴァイオリン等を駆使して自宅で即興演奏を展開し、それをTASCAMの4チャンネル・カセットMTRを用いて多重録音を行って制作したものとのことだ。であってみれば、自ずとIncapacitants名義での音とは異なるのもむべなるかなといったところだが、つまりは描こうとする心象風景が全く異なるのだろう。それは、曲のタイトルが「空 暖かい庭」「波 Violin Traveler」であることからも拝察される。余談だが、後者には、小杉武久さんへのオマージュが含まれているとのことで、そう聞くと、やっぱりなとニヤッとしてしまう。後年の、即興ドローン・ノイズ・ユニットRamones YoungやTangerine Dream Syndicateでの演奏にこのソロ作品の内容は色濃く継承されているようにも思える。そして、これは極めて抽象的な感覚なので、どこがどうだからそうなのだという論理的な説明はできないのだが、“Earth Calling”と“The Warm Garden”の二作の関係が、私にはFripp & Enoの“No Pussyfooting”と“Evening Star”の初期二作の関係と相似形をなしているように思えてならないのである。ソロとデュオという差異は当然あるのだが、その差異を超えて、二組のファースト&セカンド作が重なり合って私に迫ってきてしまうのである。こればかりは、聴いていただかないと理解できないだろうし、聴いても賛同いただけないかもしれないが、しかし、そうなのだから仕方がないのである。

先に、彼のソロは寡作感があるかもと記したが、しかし、彼の活動範囲は非常に広い。過去に参加したユニット名を挙げていくだけでも、多くの行数を要してしまうのだが、そのジャンルもやっていることも大きく異なるそれぞれにおいて、音を含めた変幻自在の立ち振る舞いで「コサカイフミオここにあり」と自らを刻印しているのは、今更言うまでもないことかもしれないが、やはり注目すべき事実である。現在は、Incapacitantsのメンバーである以上に、自らの主宰ユニット宇宙エンジンでの活動も活発化していて、こちらにも是非とも注目していただきたいのだが、同時に今回のセカンド・ソロ再発も、コサカイフミオという才能の一端に触れる貴重な機会だと思う。彼自身は、この作品をカセットでリリースした後、Trance名義で活動し自主レーベルCharnel Musicを運営していたMason Jonesから更なるソロ作品のリリースを打診されたのだが、このセカンドでやり切った感がありモチーフが出て来なくなって最終的には断らざるを得なかったそうだが、このエピソードなど、この作品がどれだけ入魂の一作であったかを如実に物語っていると言えよう。そして、Warm Gardenとは、彼のパートナーであり、花木霊で共同作業をする山安籠が「うちゅうみ」名義で展開するブログのタイトルとなっているという微笑ましい事実をお伝えして、このライナーを終えることとしたい。
(T.美川)

1. 暖かい庭
2. Violin Traveler

Format:CD
Label:SKELETON DUST RECORDINGS (US)

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