Ryoko Ono & Rogier Smal / Wood Moon
名古屋を拠点に即興演奏活動を主としながら、ブルース、ロック、ノイズやプログレなどジャンルを超えた活動を繰り広げる女性アルトサックス奏者小埜涼子と、オランダ・アムステルダムを拠点に活躍する新進気鋭のパーカッショニスト、ロヒエル・スマルによるデュオ・アルバム!!! インプロヴァイザー同士の白熱の即興とメロディが激しく交錯し、異空間に瞬間移動させられる感覚が度々。熱くも美しくもある不思議な世界に誘われる。2人のソリッドでロマンチックなインタープレイは圧巻! 昨年のベストの一枚に選んだ「Alternate Flash Heads」をはじめ、これまでに私が聴いてきた小埜さんのアルバムはどれもコンセプチュアルな体裁のものばかりだったが、こういうシンプルな編成で、エッジの立った素晴らしい音とケレンない即興の醍醐味を存分に味わわせてくれる作品を待っていた。中には、日本語とインチキ外国語っぽい言語のチャンポンのようなスキャット(これは言ってみれば、坂田明さん以来のフリージャズ・アルトサックスの伝統であろう)や、マウスピース芸が披露されるトラックもあり、そういったものを含めてとても楽しいアルバムだった。 (Outward Bound/あうとわ〜ど・ばうんど) 名古屋を拠点に即興演奏活動を主としながら、ブルース、ロック、ノイズやプログレなどジャンルを超えた活動を繰り広げる女性アルトサックス奏者の小埜涼子。そして、昨年6月に初来日ツアーを行ったオランダ・アムステルダムを拠点に活躍する新進気鋭のパーカッショニスト、ロヒエル・スマルのデュオ・アルバム。 単なるデュオではなく、インプロヴァイザー同士の白熱の即興とメロディが激しく交錯し、異空間に瞬間移動させられる感覚が度々。熱くも美しくもある不思議な世界に誘われる。2人のソリッドでロマンチックなインタープレイは圧巻。白熱の即興が約48分間、9曲に渡って繰り広げられる。小埜涼子のサックス・プレイに要注目です。 (The Walker's Vol.45) とにかく心地よいのだ。もう「心地よい」という言葉しか感想として出てこないほどだ。しっかりした作りのアルバムだが、ジャケットのタイトル名とかミュージシャン名がデザイン的すぎてまったく読めない。録音日も録音場所も曲名もなんにも書いていない。これは一切の情報を遮断して無心に聴けということなのか。というわけで聴いてみると、なるほど、これはすごい。ここまでアコースティックでガチンコで即興一本勝負の小埜涼子のアルバムがかつてあっただろうか。アルトは太い音で上から下まで鳴り響き、ドラムもダイナミックに空間をリズムで埋め尽くし、これだこれだこういうのを聞きたかったのだと叫んでしまった。もちろんこれまでのリーダー作も凄かったが(というか、その徹底した変態的な透徹ぶりはそれらのほうが凄い)、等身大・ノーギミックの小埜涼子のすさまじさというのは本作において存分に発揮されている。林栄一とのデュオアルバム2枚もそうだったが、アルト一本でただただ吹くだけで小埜涼子はこんなにも凄いのだ。この楽器の鳴り、高音部の叫び、ハーモニクスの歪み……アルトが身をよじって「もうやめてくれ。これ以上息を吹き込まないでくれ」と泣き叫んでいるようなイメージすら伝わってくる。よく似たタイプの音を出すアルト吹きは世界中にいるが、音が薄くてぺらぺらなひとも多く、小埜涼子のように腰の据わった、ドスの利いた太い音をうえからしたまで吹けるひとは案外少ないと思う。この「音」とテクニックがあるからこそ、フリーをやっても変拍子プログレをやってもスラッシュをやってもブルースをやっても説得力があるのだ。本作では、ただひたすら生真面目に押しているばかりではなく、ドラムもときどきアホなことをやったりして、ユーモアのある自由なアプローチをしているが、小埜涼子もデタラメな言語(日本語の会話と無意味な「音」の狭間みたいな感じ?)を駆使したフリージャズ的バップスキャットみたいな必殺技を披露したり、マウスピースを水に突っ込んでぼこぼこいわせたり(音だけ聞いてると、たぶんそう)して、バラエティ豊かな構成になっており、(たぶん)ゴリゴリのフリーはしんどいという向きにも受け入れられると思う。いやー、かっこええ。たぶん今、世界でいちばんかっこええアルト(のひとり)なんじゃないですか? 6曲目の冒頭のところなんか、美味しすぎて泣く。そして、このふたりの絡み方は尋常ではなく、ものすごく真っ当に(というのも変だが)しっかりと絡みつき合って、そこがまた心地よいのだよなー。傑作としか言いようがありません。 (田中啓文) Ryoko Ono: Saxohone, vocals Rogier Smal: Drums, percussion Artwork and design by Simon Fowler A chance meeting in Japan, a quick decision to meet again in Europe to record. And then, suddenly, this: Improvised music that could go anywhere and appeared in the form a sparkling, lush conversations drawing as much on melodies and rhythms as noise and silence. Ryoko Ono (Nagoya, Japan) Saxophonist, flutist, composer and recording artist specializing in improvised music and works for saxophone and electronics. She plays in a wide range of genres, not only improvised music, but also blues, jazz, progressive rock, noise, and avant-garde music. Her way of playing is consistent throughout all of these styles. It is solid, romantic inter-play. Ono leads her own group Ryorchestra and is one half of SaxRuins with Yoshida Tatsuya. She has performed with Mick Barr, Richard Pinhas, Toshiji Mikawa, Usui Yasuhiro and many others. Rogier Smal (Amsterdam, Netherlands) Drummer who experiments with free percussion sounds. He plays with different groups, musicians as well as solo. Lately Rogier has been making sonic waves of liberty with gems like: Dagora, Marshall Allen, Dylan Carlson, David Birchall, Eugene Chadbourne, Asuna Arashi, Sunburned Hand of the Man, Mik Quantius, Cathy Heyden, Daevid Allen, Nora Mulder, Arvind Ganga, Johannes Lunds, Maria Bertel, Don McGreevy and many more. Format:CD Label:jvtlandt (DNK) / Toztizok Zoundz (NLD)